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「最期の、ありがとう。」ティア
富士見市

子へ、孫へ、ひ孫へと受け継がれる、故人様が残した愛と生きる力。

担当者
服部 洋輔
施行場所
愛西市総合斎苑

ご家族の話から浮かぶ故人様のお人柄。ご家族の故人様への愛に応えたい。

「かわいい男の子が生まれてくる夢を見たの」。

お亡くなりになる1年ほど前、脳梗塞で倒れ、ほぼ半身不随になられた故人様。お孫様(長女様の長男様)の結婚式に参列したい一心でリハビリに励み、わずか2ヶ月で回復、車椅子で参列し、お孫様の結婚をお祝いされました。その結婚式の後、男の子が生まれる夢を見たと長女様にうれしそうに話されていたそうです。いつか生まれてくるひ孫様の顔を見ようと、故人様はさらにリハビリに励まれ、お二人の娘様をはじめ、ご家族みんなで支えられましたが、故人様のその想いは叶うことがありませんでした。

故人様は、家族思いで明るく、生きる力にあふれた女性でした。趣味は園芸で、花が大好き。脳梗塞で倒れた後、お見舞いにとご家族が持ってこられた花も「飾る花は、自分で決めたいから」とお断りしてしまうほどでした。身体が思うように動かなくなってもくじけることなく、手先のリハビリにもなるスクラッチアートやビーズアートに親しまれていました。またお寿司が大好きで、リハビリを頑張った後は、病院の近くの回転寿司屋で食事をされるのを楽しみにしていたそうです。そんな故人様との数々の思い出をご家族からお聞きするうちに、故人様のお人柄が浮かぶとともに、ご家族の故人様への愛が私の心にじわりと温かく伝わってきました。

「ご家族の悲しみをほぐすことができれば」と、思い出の品を手作り。

ご家族のご要望により、葬儀はティアの会館ではなく、火葬場を併設する市の斎場で行いました。私はご家族の故人様への愛をしっかりと受け止め、準備に取りかかりました。ティアの会館で執り行う葬儀さながらに祭壇や参列席を整え、故人様の思い出の品々を展示する長テーブルも配置し、同居されていた次女様ご夫婦に持参していただいた写真やス クラッチアート、ビーズアートの作品を並べました。

通夜が終わると、私は故人様の柩に入れていただこうと、回転寿司屋で予約しておいたお寿司を受け取りに行き、その後、画用紙や色紙などを使って、故人様の思い出の品であるじょうろとスコップ、そしてスクラッチアートのペンの工作をはじめました。柩に入れることのできる素材が限られており、思い出の品そのものを入れることができないからです。故人様が、再び花や野菜を育て、絵を描くことを楽しむことができるように。また、ご家族の悲しみをほぐすことができるようにと願いを込めながら、丁寧に作り上げていきました。

深い悲しみを乗り越えて、伝わる愛。

葬儀の日。式は粛々と執り行われ、最期のお別れの時を迎えました。参列の方々に一輪一輪、花を手渡し、花を柩に手向ける準備をしていると、背後から小さな泣き声が聞こえてきました。振り返ってみると、故人様の次女様が一輪の花を両手に持ち、座ったままこらえるように泣いていらっしゃいました。次女様はうつむいて、嗚咽をこらえるように一言、小さな声でささやきました。

「このまま、花を手向けなければ、お別れしなくてすむかしら…」。

座ったまま動くことができない次女様に長女様は歩み寄り、次女様を支えながら柩の前に立つと、お二人で崩れるように涙を流されました。その姿をそっと後ろから見守るご家族、故人様のご兄弟の方々。斎場は、故人様とご遺族の愛に包まれていました。

参列者すべてが花を手向け終わると、私は手作りのじょうろとスコップ、スクラッチアートのペン、そしてお寿司を、長女様、次女様に手渡しました。お二人とも驚き、「こんなものまで用意してくださってありがとうございます」と、少し悲しみが和らいだような表情をされました。

葬儀が終わり、しばらくして長女様から感謝の手紙をいただきました。お礼も兼ねてお電話をすると、故人様が待望されていたひ孫様がお生まれになったそうです。なんと故人様が見た夢のとおり、かわいい男の子でした。その男の子には、故人様の名前の一文字をもらって名前がつけられたとのこと。故人様の愛は失せることなく、ひ孫様にも脈々と受け継がれていきます。私も、この式を通してその愛をいただいた気がしています。

担当者想い

担当者:服部 洋輔

担当者想い

手間暇を惜しまない。お客様の喜びが私の情熱です。

お客様に「ありがとう」と言われる葬儀がしたい。そのためにできることを常に探しています。柩に入れる思い出の品の工作はその一つ。腕利きの大工であった故人様の葬儀を担当した際、カンナや金槌などの大工道具を初めて手作りし、とても喜んでいただいたのを機に、なるべく手作りするようにしています。大切な方を亡くしたお客様のご心労が少しでも癒されるなら、手間を惜しむことはありません。お客様の喜びが私の葬儀への情熱になっています。