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「最期の、ありがとう。」ティア
東大阪市

宗教の違いを超え、ご遺族の心を一つに合わせて。

担当者
鈴木 真実
施行会館
ティア瀬戸南

宗教の違いを超えて、皆で見送る温かな葬儀。

ご家族やご親族、また故人様の間に宗教の違いがあるとき、ときに諍いが起こることがあります。たとえば仏式の葬儀の際、焼香を辞退されたり、席を外されたりする異なる宗教の方がいらっしゃると、事情を知らない仏教徒のご親族の方から「なぜ焼香しないのか?」と不可解な表情で、私たちスタッフにそっと尋ねられることがあります。また葬儀の形態について、ご遺族の間で言い争いが起こった場合、どちらかが要望を押し切り、互いに不満やしこりが残ったまま式を迎えることもあります。しかし、今回のご家族はそのようなことはなく、故人様の想いを何よりも大切にし、宗教や思想の違いを超えて、温かく見送りたい、そんな想いにあふれていました。

故人であるお父様と、喪主であるお母様は曹洞宗の仏教徒。娘様はプロテスタントのキリスト教徒でした。ご相談にいらっしゃったとき、仏式で葬儀を行うことは決まっていました。キリスト教徒として仏式の葬儀に参列した経験がなかった娘様は、「宗教上、葬儀の中でできることとできないことがあると思います。相談させてください」と、不安な表情をされていました。

宗派やご意向を伺いながら、一つひとつご提案。

私は、通夜、葬儀の流れの一連をお話しし、娘様ご自身の意向もお伺いしながら「できること、できないこと」を、一つひとつご提案しました。そのときお母様は、隣でじっと黙ってお聞きになっていました。娘様は独身の頃、自らキリスト教徒になられたとのこと。「今まで、お母様と宗教の違いで、いろいろとあったことだろうな」と、私はふと、娘様に自分の母親を投影しました。実は私の両親もまたキリスト教徒で、私が中学2年生のとき、仏式で行われた祖母の葬儀で、母が自らの信仰を主張することなく参列していたことを思い出しました。母は、祖母の信仰を尊重し、温かく祖母を見送りました。今、故人の娘様のお気持ちも、きっとあの時の母と同じに違いない…。

ひととおり相談を終え、娘様と娘様の旦那様、息子様には故人様の口を水で浸す「末期の水」という儀式と焼香は控えていただくことになりました。娘様は「安心しました、ありがとうございます」と、ホッとした表情に変わっていました。

スタッフ全員が寄り添って、
最期は涙のサプライズ。

ご相談を受けた日から約2週間後、葬儀のときを迎えました。

通夜当日、事前のスタッフミーティングで、今回の葬儀は仏式だが、キリスト教徒の娘様とその旦那様、息子様がいらっしゃり、焼香は遠慮されることなどを、協力会社のスタッフも含め全員と共有しました。知らずに焼香を何度も促してしまうなど、トラブルを起こさないようにするためです。

ご親族の方々がお揃いになると、娘様は皆様と親しく会話をされていました。ご親族の方も娘様がキリスト教徒であることを理解し、受け入れられているようでした。優しく真面目で、兄弟も大切にされた故人様を温かく送りたい。そんな想いであふれていました。

通夜、葬儀を無事に終え、棺の周りで最期のお別れをするご家族に、私は「こちらもお納めください」と、用意していた近隣で評判のお店の「鯛焼き」をお渡ししました。故人様は甘いもの、特にあんこが大好きで、おまんじゅうは供えられていたのですが、一つ用意できなかったものがあると聞いていたからでした。「鯛焼きが用意できなかったと言っていたこと、覚えてくださっていたんですね。本当に大好きだったんです。ありがとうございます」と、娘様はこらえきれず涙を流されました。

宗教の違いを超え、ご遺族が心を一つにして行った温かい葬儀に、故人様はきっとお喜びになったことでしょう。この葬儀に、私たちも同じ想いで寄り添い、お手伝いできたことをうれしく思います。

担当者想い

担当者:鈴木 真実

担当者想い

お客様の葬儀への不安を解消することが何よりも大切。

今回のように、お別れの際にいろいろとお供え物を用意させていただくこともありますが、それよりもお客様の葬儀に対する不安を解消することが大切だと思っています。さまざまな宗教、形態の葬儀を行うたびに、細かくメモをして覚え、自分だけでなく他スタッフにも知識を共有しています。分からないことがあれば、直接牧師や住職に聞きに行くこともあります。今回は、その知識の積み重ねを生かすことができた葬儀だったと思います。