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曹洞宗の葬儀の流れやマナーについて
「葬儀・葬式のマナー・基礎知識」
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曹洞宗の葬儀の流れについて
焼香のやり方や服装、香典マナーもご紹介
仏式葬儀の中でも独特なのが曹洞宗の葬儀です。このページでは他の宗派との違いや葬儀の流れを解説します。必要な仏具やお布施の費用など、曹洞宗の特徴を押さえておきましょう。また曹洞宗における焼香の仕方や香典など、参列者のマナーについても紹介するので参考にしてみてください。
曹洞宗の葬儀の特徴
- 「仏の弟子になる」という儀式がある
- 長い時間をかけて儀式を行う
- 独特の仏具で大きな音を出す
曹洞宗の葬儀は、弟子になるために必要な戒名・戒法を授かる「授戒」と仏のもとへと故人を導く「引導」で構成されています。曹洞宗の葬儀には故人が「仏の弟子になる」という特徴的な考え方があり、故人がつつがなく仏の元に導かれ弟子になるために、長い時間をかけて儀式が行われます。
また鐃祓/妙鉢や太鼓など打楽器を仏具として使用するのも、他の宗派にはない特徴でしょう。曹洞宗では仏具の盛大な音が故人の魂を迎え、仏へ導くとされており、こうした仏具が使われます。
他の宗派との違い
曹洞宗における葬儀は、故人の新たな旅立ちを見守る儀式でもあります。そのため他の宗派の葬儀よりも比較的長時間にわたって行われます。
また他の宗派に比べ多くの僧侶が葬儀に参加します。これは葬儀を取り仕切る僧侶だけでなく、仏具を担当する僧侶もお迎えすることが多いからです。
曹洞宗の葬儀で使われる道具について
曹洞宗の葬儀では儀式に必要な道具(仏具)にも特徴的なものがあります。
鳴り物
曹洞宗の葬儀で使用される道具(仏具)において、最も特徴的なものは「鐃祓/妙鉢」「引鏧」「太鼓」と呼ばれる3つの鳴り物です。葬儀の中で2度行われる「鼓鈸三通」の儀式で使用します。「鐃祓/妙鉢」はシンバルに似た仏具で「引鏧」は持ち手の付いた小さな鐘のような仏具です。三人の僧侶がそれぞれ担当する仏具を鳴らします。鼓鈸三通は出る音から「チン・ドン・ジャラン」という表現もされます。
数珠
曹洞宗の正式な数珠は108玉が連なる「看経念珠」です。同じ禅宗の一派である臨済宗の数珠と同様の形状で曹洞宗の数珠には金環がついています。数珠そのものの素材については特に問われません。一般的には木製や石製です。
男性用、女性用ともに一重の輪を一度ひねり、二重にして持ちます。参列者や曹洞宗の信者でない方はすべての宗派に使用できる一連の「略式数珠」を使用しても構いません。
曹洞宗の葬儀の流れ
導師入場~焼香 | 導師入場 → 剃髪 → 授戒 → 焼香・読経 |
---|---|
挙龕念誦~山頭念誦 | 挙龕念誦 → 鼓鈸三通 → 引導法語 → 山頭念誦 |
導師退場~出棺 | 導師退場 → 喪主挨拶 → 最期のお別れ → 出棺 |
告別式後 | 初七日法要 → 四十九日法要 → 年忌法要 |
地域慣習の違いにより、葬儀の流れが一部異なる場合がございます。
曹洞宗の葬儀の流れを表にまとめました。地域や寺院によって流れが前後する場合もあります。儀式の数は多く、それぞれに意味があります。それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
導師入場~焼香
地域慣習の違いにより、葬儀の流れが一部異なる場合がございます。
導師入場
導師と式衆が入場します。導師とは仏教用語で引導を渡す僧侶を指しますが、要するに葬儀を取り仕切る僧侶のことです。式衆はその他の役割を与えられている僧侶たちを指します。
剃髪
導師が剃刀を持ち、「剃髪の偈」を唱えます。古の出家儀式を再現したもので授戒への第一歩と考えられています。
授戒
授戒とは故人が仏さまの弟子になるために、必要な戒名や戒法を授かるための儀式です。
授戒はさらに細かく下記の儀式によって構成されています。
概要 | |
---|---|
懺悔文 | 生前の罪を反省し、成仏を祈願する |
洒水 | 清き水を手向ける |
三帰戒文 | お釈迦様の教えを守って修行者に帰依することを誓う |
三聚浄戒・ 十重禁戒 | 法性水を用意、位牌や自らの頭に注ぐ |
血脈授与 | お釈迦様から故人に続く法の系図を授かり霊前に供えることでお釈迦様の弟子になった証とする |
焼香・読経
授戒のあと、本来であれば入棺諷経(にゅうかんふぎん)という入棺の儀式が行われます。しかし現代の告別式ではすでに入棺は済んでいるので、「回向文」と呼ばれるお経が読み上げられます。この間に参列者は焼香を行います。焼香後、龕前念誦(がんぜんねんじゅ)という本来は棺を閉じるときに行う儀式に移りますが、こちらもやはり回向文の読経になります。
挙龕念誦~山頭念誦
地域慣習の違いにより、葬儀の流れが一部異なる場合がございます。
挙龕念誦
「挙龕念誦」は邪気を払うための読経で、焼香後に行われます。このあと、鼓鈸三通という仏具による儀式へ続きます。
鼓鈸三通
「鐃祓/妙鉢」「引鏧」「太鼓」と呼ばれる3つの仏具を使用してそれぞれをリズムよく打ち鳴らします。一つの仏具につき一人の僧侶が担当し打ち鳴らすため、合計で三人の僧侶が参加します。「挙龕念誦」と同様、音により邪気を払う意味合いがあります。
引導法語
導師が故人の生涯を漢詩で表し、仏の世界へ導く儀式です。たいまつを模した仏具や線香を使い、右回り、左回りに円を描いて故人に引導を渡します。
山頭念誦(さんとうねんじゅ)
故人の仏性の覚醒を助けてもらうよう祈願し、読経する儀式です。本来は斎場(葬儀を行った場所)から火葬・埋葬する場所へ向かう際に行う儀式でした。現在はこれをもって導師退場へと続きます。
導師退場~出棺
導師退場 → 喪主挨拶 → 最期のお別れ → 出棺
地域慣習の違いにより、葬儀の流れが一部異なる場合がございます。
儀式が終了し、出棺へと進みます。ここで他の宗派と同様、喪主の挨拶や最期のお別れが行われるのが一般的です。
出棺の際に再び鼓鈸三通を行ったり、導師退場の前など寺院や地域によって順番が前後したりする場合もあります。
曹洞宗の告別式後
地域慣習の違いにより、葬儀の流れが一部異なる場合がございます。
曹洞宗の告別式後の法要は他の宗派と基本的に変わりません。初七日法要に始まり、故人が成仏する四十九日まで7日ごとに法要を行うのが本来的な考え方です。現在では、初七日と四十九日を節目の法要として行う方がほとんどです。
初七日法要
故人が亡くなってから最初の重要な法要です。故人が無事三途の川を渡ることができるように祈りを捧げる場とされています。本来であれば亡くなった日から数えて7日目に行いますが、現在は遠方からの参列者もいることから、葬儀当日の繰り上げ法要にする方も増えています。
四十九日法要
仏教では故人の魂は四十九日の間あの世とこの世をさまよっていると考えられています。この期間を中陰と呼び、遺族は故人が極楽浄土に行けるように供養を行います。この中陰が終わる時に四十九日法要が行われます。
四十九日法要は仏教にとって大事な法要であり、曹洞宗でも同様です。
四十九日を迎えた日を「忌明け」といい、法要後に会食を設けます。法要は忌明け当日に行うことが望ましいですが、遠方から参加される方に配慮して忌明け前の休日などに行う場合も多いです。忌明けより前に行うのは構いませんが、後ろにずらすことはよくないとする場合もあります。法要をお願いする寺院や親族ともよく相談しましょう。参加する場合は数珠を持参することを忘れないようにしましょう。
年忌法要
年忌法要は一周忌・三回忌のあとは七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、(二十五回忌)、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌、その後は50年ごとに行います。これは曹洞宗でも変わりありません。寺院と相談して計画を立てていきましょう。
曹洞宗の葬儀のマナー
焼香」「服装」「香典」のマナーをそれぞれ詳しく紹介します。曹洞宗の葬儀に参列する場合には、事前に確認しておきましょう。
焼香
- 焼香台に進む
- 焼香台の2、3歩程度手前で立ち止まり、遺影、位牌に軽く一礼
- 焼香台まで進み、右手でお香をつまむ
- 軽く左手を添えて額に押しいただき、念じてから焼香をする
- 額に押しいただかす、1度目に焼香したお香のそばに2度目の焼香をする
- 数珠を両手にかけ、合唱・礼拝
曹洞宗の焼香では2度目の焼香は押しいただかないのがマナーです。焼香の回数は2度ですが、参列者の人数によっては式進行から1回とアナウンスされる場合もあります。その場合は進行に従いましょう。
服装
その他の仏式葬儀と同じ喪服で構いません。男性は黒のスーツにネクタイ、靴や靴下、ベルトなどの小物もすべて黒でそろえます。女性は黒のワンピースかセットアップ、靴やストッキングもすべて黒です。
数珠は曹洞宗の信者でなければどの宗派でも使用できる略式の数珠で構いません。
香典
曹洞宗の香典袋 | |
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白黒もしくは双銀の水引があるもの | |
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曹洞宗では、香典の表書きには「御霊前」「御香典」と記入します。差出人の名前は水引の下中央にフルネームで記入しましょう。封入金額の相場は他の宗派と変わりません。
曹洞宗の葬儀について、不明な点はティアにご相談ください
曹洞宗の葬儀は固有の儀式が多く、初めて執り行う場合や参列する場合には戸惑うこともあるかもしれません。その際はこのページで紹介した流れやマナーをぜひ参考にしてみてください。
また曹洞宗の葬儀に関して少しでも不明な点があればぜひティアにご相談ください。専門スタッフが親身にサポートします。
監修:ティアアカデミー
セレモニーディレクターを育成する組織として、入社する社員の教育や入社後の研修を実施。葬祭ディレクター技能審査(厚生労働省認定) 1級葬祭ディレクターの資格を持つ講師も在籍。独自の資格制度である「ティア検定」を創設し、毎年数百名の葬祭ディレクターの審査を実施している。